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コラム

空間メディア入門

3-06「Solid」(硬質体)から「Liquid」(液動体)へ

2012.10.18

 第二のポイントは、「情報がいつでも誰でも簡単に書き換えられる対象になった」ことから生まれる「情報とは硬いものではなく、変形可能な柔らかいもの」という感覚です。  先ほど、マスメディアは情報を塊にして送り出すと言いましたが、その塊はとても堅牢で、しかも鍵がかかっています。新聞であれ雑誌であれテレビであれ、ぼくたちはその内容に手を加えることなどできないし、そもそもそんなことをしようという気も起こらない。  マスメディアの時代、情報は変形させ得る対象ではなかったのです。  しかし、インターネットの登場はこの感覚を根底から覆すものでした。ぼくたちはネット上にある情報を一種の「素材」と見なしはじめています。だから、ネット上では、部分のコピー&ペーストはもとより、別々の場所にあったコンテンツをシャッフルして繋いだり、それらを切り刻んで再構成したり、内容をいじって意味を変えたり、といったことが当たり前のように行われているわけですね。いまぼくたちは楽曲のサンプリングと同じような態度で情報に接しています。  生け簀の中を「探索」し、泳いでいる素材で使えそうなものを「捕獲」、集まった素材を順不同でまな板に載せ、加工して自分の料理として送り出す。  素材だから、使いたいときに使いたいものを集めればいいし、集めたものは好きなように料理すればいい。そんなイメージです。  新聞、雑誌、テレビ、書籍、映画、音楽CD……、商品として流通するこれまでのメディアは、すべて完成品として社会に送り出されます。その中身を誰かが差し替えることなどできないし、最後は著作権が守っている。いわば彫刻のようにSolid(ルビ:硬質体)なものでした。  これに対して、ネット上にある情報はパーツみたいなもの。変形自在でやわらかく、いつも流動しているLiquid(ルビ:流動体)な存在です。  つまり、ぼくたちは情報をSolidではなくLiquidなものと考えはじめているわけですね。情報とは生きて動いている、みずみずしいもの。二つ目のポイントはこの感覚です。

 

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