デジタル技術が急速に進化し、インターネットという新しいメディアが参入してきたおかげで、これまで安定していた情報世界の生態系が変わりはじめたわけですね。
もちろん空間メディアも生態系を構成する一要素ですから、新しい生態系とうまくつき合っていくしかありません。では、どうすればいいのか?
それを考えるために、まずは情報交通の現場でなにが起きているのかをよく観察しなければなりません。デジタル技術とインターネットが、情報と我々との関係をどう変えつつあるのか? それに伴って情報に対する我々の感性がどう変わろうとしているのか?
インターネットの出現が情報に対する我々の意識を変えようとしているポイントには、大きく三つあるとぼくは考えています。それは、
■ 情報はそこにある
■ 情報はFIXしない
■ 情報は連鎖する
の三つです。
一つ目の「情報はそこにある」とは、情報がいつも見えているということ。見えているから獲りに行ける。つまり情報が捕獲可能な存在になった、ということです。
二つ目の「情報はFIXしない」とは、情報がいつまでも柔らかいままだということ。柔らかいから変形できる。つまり情報が書き換え可能な存在になった、ということです。
三つ目の「情報は連鎖する」とは、情報にいつでも反応できるということ。反応し合うから結ばれる。つまり情報が交換可能な存在になった、ということです。
情報はいつも目の前に見えていて、いつまでも柔らかく、次々とつながっていくもの。
情報は自ら捕獲して、書き換えながら、あるいは相互に反応しながら、交換するもの。
ごく大雑把にいえば、これがいまぼくたちに芽生えつつある情報感覚であり、情報との新しいつき合い方です。
「マスメディアの時代」とのあまりの違いに驚くばかりですが、ぼくたちの感性がわずかな時間で信じられないくらい変わってしまったことはどうやら確かなようです。