多くの一線クリエイターを巻き込むプログラムを考えはじめたのですが、最初に決めたのは作品展のようなものは止めようということでした。当たり前すぎて面白くないし、それでは最後の「結果」しか見えないからです。そういった “よそ行き”の表情ではなくて、クリエイターの発想の裏側が垣間見えるようなものにしたいと思いました。
他人の本棚を見るといろいろなことがわかって面白いでしょう? それと同じで、できればクリエイターたちの日常を覗いて見てみたい。
彼らは日ごろどんなものに囲まれているのか。なにを愛用し、なにを大切にしているのか。どんな本を読み、どんな服を着ているのか……。
もしクリエイターのバックグラウンドに触れたとの実感がもてるイベントがつくれたら、クリエイティブなブランドイメージにつながるし、イベントとしても面白い。
でも、貸してもらった愛用品をケース展示するだけでは、郷土資料館のヤジリと一緒でまったくシズルがありません。これでは“図録”であって、空間というメディアの性能を活かすことにならない。もっとビンビン実感が押し寄せてくるような展開はないか……。
それでフリーマーケットという形式を借りることにしたのです。
クリエイターたちに、アトリエの倉庫や引き出しの中から「コレ!」というものを持ってきてもらう。ブースの装飾デザインにも工夫を凝らし、テイスト感を出してもらう。そして実際に自分自身で売ってもらう。
販売の形をとった一種のプレゼンテーションです。
彼らには趣旨を説明したうえでこう言いました。「あなた自身を表現してください。あなた自身が来てください。売りたくないものには1億円と書いていただいて結構です」(笑)。
つくろうとしたのは、単なる不用品の処分市とはまったく違う、フリーマーケットという形式を借りたアートイベントだったわけですね。