やきものにかかわる創作活動といっても、陶芸だけではありません。お茶、お華はもとより、テーブルコーディネート、ファション、料理から果ては楽器に至るまで、関連する領域は多岐にわたっていますし、同じ華道の世界でも流派はさまざまです。
同じ県内で、しかも同じやきものにかかわる活動をしているにもかかわらず、彼らは必ずしも“顔が見える”関係にあるわけではない。クリエーションホールの最大の目的は、彼らのなかに顔の見える関係をつくることでした。いわば異業種交流の「市民版」「文化版」を狙ったわけです。
「華道14流派の競演」「調理師会と華道界のコラボレーション」など、非日常のイベントならではのいろいろな試みが実現しました。87日間の会期中に実施されたプログラムは47を数え、参画した人は109団体8000人に上りました。
ある人々を情報のつくり手として同じ船に乗せる。共通目標の下に共同作業を強いる環境に置くことで濃密なコミュニケーションを醸成し、相互理解と連帯感を育む。学芸会とまったく同じ構造です。
このように、空間というメディアはface to face のコミュニケーションを前提としているために、文字通り「顔が見える関係」を取り持つことができるのです。それが第二の特性「 “対話”を通して“関係”をつくる」です。
しかもそれは、情報の送り手と受け手の関係にとどまらず、受け手同士、送り手同士にも有効なんですね。上手くつくればこの三つを同時進行させることも可能でしょう。空間だけがもつこの性能を活かさぬ手はありません。