縦横無尽に時空を行き交いながら、息つく間もなく展開していく。
いきなりトップスピードで走り出し、最後までテンションをキープしつづける。
『TAROの塔』はポテトチップスをほおばりながら寝転がって見るドラマではない。
『坐ることを拒否する椅子』なのだ。
これまでにもドラマ化のオファーはあった。でもすべてお断りしてきた。
いずれも年表をトレースしたようなものだったからだ。
だが今回は違った。「われわれなりの太郎像を探したい」。そう語る制作者たちの志に賭けた。
『TAROの塔』を見ていると、スタッフとキャストの心意気がまっすぐに届く。
つくり手が腹を括っていることくらい受け手にだってわかる。
だから見る側も本気になる。
なにより彼ら自身が、もがきながらも楽しんでいる。TAROと真剣に遊んでいる。だから面白いのだ。
ただ、いかにもテレビでは小さすぎた。次はぜひ映画館で見たい。誰もがそう感じたに違いない。こんなドラマ、いままであっただろうか?
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