縄文との出会いから5年が過ぎた1957年。日本文化の本質をさがす旅に出た岡本太郎は、最初に訪れた東北でいきなり“原始日本”と遭遇します。
貧しく閉ざされた冬の東北。そこには見えない力と対話する“呪術の心”が息づいていました。
東北で原日本の片影に触れた太郎は、沖縄でその心が脈々と受け継がれている姿を目撃し、1962年の東北再訪を経て、日本人の血の中にいまも縄文の心が宿っていることを確信します。この体験こそが岡本芸術の方向を決定づけ、ついには太陽の塔の誕生へとつながっていきます。
岡本太郎の眼がとらえた60年前の東北。ぶ厚く豊かな日本。
ぼくたちはそれを見たことがないけれど、けっして他人事ではありません。
これこそ、われわれの日本であり、われわれ日本人そのものだからです。
岡本太郎の眼が切り取った「ほんとうの日本」です。 |