《生命の樹》は全体がひとつの“生命体”なんだ。
太陽の塔を構想したとき、岡本太郎はその胎内に“生命体”を内蔵させようと考えました。アメーバから人間にいたる、すべてのいきものが一体となって組織するひとつの生命体。それが《生命の樹》です。それは動脈となり、リンパの流れとなって太陽の塔に生命(いのち)を吹きこんでいたのです。
岡本太郎が《生命の樹》で表そうとしたのは、生きとし生けるものを根源で支える“生命(いのち)のエネルギー”でした。そしてそれこそが、岡本芸術の根底に流れるテーマだったように思います。
パリの街角、盛られた果物、横たわる裸婦、…。同世代の洋画家たちが好んで描いた画題を、太郎は一枚も描いていません。彼が描きつづけたのは生命(いのち)であり、そこに宿るエネルギーの強さと尊さでした。
本展では、太郎が描いた生命(いのち)の数々をときに激しく、ときにユーモラスに語りかけてくる<いきもの>たちをどうぞお楽しみください。
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