大阪万博のテーマプロデューサーを引き受けたとき、岡本太郎は大屋根をブチ抜く『太陽の塔』で進歩主義に否(ノン)!をつきつける一方で、その胎内にダイナミックな小宇宙を構想した。それが『生命の樹』だ。
うねりをあげてのび上がる一本の樹に、単細胞生物から人類まで、進化の過程をたどる300体の生き物がびっしりと貼り付いている。
地下から天空へ貫いてのびる生命(いのち)の時間。始原のときから営々と続く生命の生長と変貌。根源から立ちのぼり未来へと向かう生命の尊厳とダイナミズム。
まさしく岡本太郎にしかつくれない唯一無二の芸術だった。
だが万博閉幕後に撤去が進んでしまったために、残念ながらいまは当時の姿を見ることはできない。
そこで生誕100年を迎える記念すべき年に、この『生命の樹』を再現することにした。
手掛けてくれたのはフィギュア制作の世界チャンピオン・海洋堂だ。
写真でしか見ることのできなかった40年前のモニュメントを、ぜひ肌で直に感じて欲しい。必ずや新しい発見があるはずだ。
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