顔は宇宙だ。
顔は自であり、他であり、全体なのだ。
そのど真ん中に眼がある。
それは宇宙と一体の交流の穴。
世界の美のあらゆる層に、なんとさまざまの顔があり、また眼があるのだろう。
まん丸い眼、とがったの、凹んだ穴ぼこ、あらゆる眼がにらみ、挑みあい、絶対をたしかめあう。
ひとつの顔の宇宙のなかに、また無限の顔、そして眼玉が光っている。
言いようのない実在感をもって。
―岡本太郎―
顔は宇宙であり、眼は交流の穴である。
そう考える岡本太郎にとって、顔は特別なモチーフでした。
じっさいどの作品を見ても、そこにはかならず顔があり、眼があります。
太郎が描いたのが “宇宙”であり、“いのち”だったからです。
画面いっぱいにひろがってさまざまな表情を見せる顔。
生命力をたぎらせながらこちらを睨むギョロっとした眼。
本展では、岡本芸術とぼくたちをつなぐ大切な回路である「顔」に焦点をあて、太郎が生涯に
わたって描きつづけた多彩な顔をご覧いただきます。 |