岡本太郎を題材にしたはじめての映画は、「太陽の塔」をテーマにした長編ドキュメンタリーになった。映像界の奇才・関根光才を監督に迎え、「太陽の塔とはなにか」を探求していく。
万博や太郎の話はもちろん、縄文、原発、アイヌ、熊楠、チベット…と、さまざまな問題に展開していくのだが、それらがひとつの世界観のもとにぎゅっと凝縮され、ハイテンションのまま2時間を走りきる。これまでのドキュメンタリー映画とは趣が大きくちがうのだ。
「多くの人の言葉から成る“モノローグ”のように」と監督が語る新たな手法も注目すべきポイントだろう。29人のインタビュイーの証言が、パズルのようにひとつの文脈に再構成されている。ナレーションはいっさいない。太郎にふさわしい挑戦的な映画になった。 |